はじめに、今回検証する本の紹介をさせていただきます。
ある意味面白いのでお勧めです。
誰があなたを護るのか――不安の時代の皇
青山繁晴(著)
ヒロカネプロダクション(漫画)
新田均(監修)
日本の尊厳と国益を護る会(監修)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B09771JV69/ref=ppx_yo_dt_b_d_asin_title_o00?ie=UTF8&psc=1
それでは早速、はじめていきます。(漫画は一部抜粋です)
物語の主人公はこの二人。左:長峯あかり 右:春暁(しゅんぎょう)
紀さん(司書)による神話解説がはじまります。
高森明勅先生は「イザナキノミコト」と濁らないほうが正しいと仰っていますね。
ここ、本当はもっと全然エロい描写なんですけど、まぁいっか(笑)
ここまで。たったのこれだけ。
国産み以降の「天照大神誕生~天孫降臨~天壌無窮の神勅」などの物語を全てすっ飛ばして、神武天皇へと進んでいきます。
日本神話の最高神である天照大神は、この物語では一切登場しません(笑)
しかし、ここで少しだけ天照大神の解説が入ります。
都合のいい時だけ天照大神を利用
男系派としてはこの解説が精一杯でしょうね、神武天皇は天照大神からはじまる女系子孫とは口が裂けても言えないでしょう(けど遠回しにそう言ってるけど)
そしてここから、過去にタイムスリップして歴代天皇に会いに行きます。
推古天皇はこんなオッサン風ではなく美人だったそうですよ。
国民の約80%は女性天皇を支持しているわけですから、本当は議論になること自体おかしいんですけどね。普通の日本人は「男系女系」という概念すら、ほぼ知らないし(それでいい)
ここで、まさかの展開
歴代女性天皇全員参上(笑)
さて、何が始まるのでしょうか。嫌な予感
>(推古天皇)そんなことも分からなくなるの?
女性天皇が即位後結婚しない・子供を産まないのは基本中の基本だと言わんばかり。
ここから、個人的に問題だと思う描写が続きます。
あろうことか、歴代女性天皇に《ねつ造の歴史》を発言させるという暴挙です。
中継ぎで36年間在位しました(笑)
>なかなかみんなの意見が揃わなかった
デタラメです。推古天皇の即位は、蘇我馬子による(危険人物だった)崇峻天皇暗殺により実現しました。暗殺後、特に目立った反乱の形跡はなく、平穏にスムーズに即位した展開を考えると、蘇我馬子は推古天皇をはじめとする朝廷内の同意を得た上で暗殺を行った可能性が高い。既に卓越した権威をもち血統や才能・素質の面でも優れていた推古天皇が、皇族や豪族らの要請で即位したと考えるのが自然です。
当時、隋との交渉をはじめ内外に課題は山積していました。一致団結して対処するには、信頼のある推古天皇以外の選択肢はあり得なかったと考えられます。
中継ぎは、譲位とセットです。
譲位ができない(好きなタイミングでやめられない)のに、どうして中継ぎ論が成り立つのでしょうか?譲位をすることがあらかじめ決まっていたということでしょうか?
そんなことはありません。第36代孝徳天皇への譲位は「乙巳の変」を契機に行われました。
推古天皇が即位した年齢は39歳。皇極天皇が即位した年齢は48歳。
女性皇族は、当時全国にいた皇族の男性と結婚することはあっても、貴族でもない豪族と結婚するケースはありませんでした。(結婚せずに巫女として神に仕えたケースが殆ど)
そもそも天皇・皇族には姓がないため、皇室において王朝交代(易姓革命)は起こりません。
(Amazonレビュー★1 まる様)
この本は「女性天皇が蘇我氏の誰かと結婚してその子が皇位についたら男系で神武天皇につながらないので蘇我王朝が始まる」と述べていますが蘇我氏は神武天皇の男系子孫です。源頼朝も平清盛も足利尊氏も徳川家康も天皇の男系子孫です。筆者はそれら全員に皇位継承権があると考えているのでしょうか。恐ろしい話です。蘇我氏の子が即位したら蘇我王朝が始まるなら旧宮家の子が即位したら伏見朝や東久邇朝が始まります。皇統断絶で日本はおしまいです。皇統を守りましょう。
愛子さまは(何事もなければ)ご即位する前にご結婚・ご出産できるので大丈夫。
歴代女性天皇の出産については
・第35代皇極天皇(第37代斉明天皇)は第34代舒明天皇と結婚する前に高向王と結婚し漢皇子、舒明天皇との間に第38代天智天皇、間人皇女(第36代孝徳天皇の皇后)、第40代天武天皇を産んでいます。
・第41代持統天皇は天武天皇との間に草壁皇子を産んでいます。
・第43代元明天皇は草壁皇子との間に第44代元正天皇、第42代文武天皇、吉備内親王を産んでいます。
女性天皇の主な功績として
・「日本」という国号は、持統天皇の時代に定められました。
そもそも女性に限らず、男性でも第77代後白河天皇など、中継ぎの天皇だったと思われる方はいます。
「男系が絶対的なルールだった」については
・飛鳥奈良時代は半分が女帝の時代です。
・日本神話の最高神(皇祖神)が女性はありえません。
・日本には歴史上、中国(シナ)のような宦官がいないことが、男系を最重要視していなかった何よりの証拠です。
>その皇子(第45代聖武天皇)はまだ15歳
第42第文武天皇(父)は15歳で即位しているのですが。。
>こうやって私達は初代の天皇陛下から真っすぐつながる父方の一系を護ってきました。
>愛子内親王殿下という素晴らしい女性がいらっしゃいます
>どう思われますか?
>・・・・(一同絶句)
こんなのおかしいって!!
元正天皇・孝謙天皇・明正天皇・後桜町天皇が結婚・出産しなかった理由について
古代~、伊勢神宮には代々斎宮といわれる生涯未婚(異性と関係をもったり性行為をしてはいけない)を余儀なくされた皇女たちがいました。
要するに、所謂『潔癖主義』です。
あくまで当時の価値観であり、現代で気にする必要はありません。
>「あなたならわかるわね」「でしょ!」「探したらどうなの?」
こんなデタラメを孝謙天皇に言わせて、作者は心が痛まないのでしょうか?
>その愛子内親王も即位されるとしたら結婚はしないか、しても子供は産まないかという選択を余儀なくされることはないかしら?
ありません。
あくまで予測ですが、今上天皇がご譲位される約20年後、愛子さまは40歳前後。ご結婚・ご出産までの時間的余裕は十分にあります。
そもそも、そんなの気にする必要ありません。
占領軍が11の宮家を廃止した論に関しては
・所謂旧宮家は男系の血筋では、天皇からの血縁は極めて遠い。(20世以上)
・旧宮家の方々からも、皇籍離脱の声が挙がっていた。(伏見宮系、山階宮晃、小松宮彰仁、東久邇宮稔彦)
・GHQの政策とは関係なく、もともと血縁の遠い傍系宮家の皇族は皇籍離脱(臣籍降下)する国内のルールがあった(「皇族ノ降下二関スル施工準則」大正9年施行)。
・皇籍離脱の報を聞いた貞明皇后は「これでいいのです。明治維新この方、政策的に宮さまは少し良すぎました。」とご感想を述べられた。
・戦前、傍系の宮家の皇族が増えすぎたことで、皇室の尊厳を損ないかねない不行跡が見られたことがあった。
その宮家(一般国民)から天皇陛下をたてる!?そんな馬鹿な(笑)
>永い伝統をその時代だけの価値観で変えるのは違うのでは
それを言うなら20世も離れた一般国民を天皇にしたり、皇族にする方が遙かに伝統の破壊です!!
そもそも「万世一系」とは1867年に岩倉具視によって作られた言葉であり、推古天皇が使うのは違和感があります。
ズレているのは主人公です。
現在の皇室典範において、皇位継承者は事実上悠仁親王殿下お一人だけ。そこに「男子を産むために」嫁いで来られる方がいらっしゃるとは思えない。
既に近い将来、皇室が危機的状況に陥ることは明白であり、『今の気分だけでやってる』とは、本当に皇室のことを思っている人間の発言とは思えません。
無茶苦茶なのは主人公。
まずは専門家からヒヤリングを受け、有識者会議で議論を練るのは普通でしょう。国民にはメディアを通じて報道されていたはずです。
>学校でも教えないまま
意味不明。そもそも、男系派に対して「旧宮家で皇族になる対象者は見つかりましたか?」と質問をすると、「正体をバラされると野次馬パパラッチが危険だから、直前まで教えるはずがないだろ」などと言い出します。
婿入りでね。
>過去に学べばいい
旧宮家皇籍復帰を正当化するため、ここからは継体天皇のパートに突入していきます。
俗説などではありません。
そもそも、皇室に側室が無ければ天皇制はとっくに終わってます。
例えば、第109代明正天皇~第126代今上天皇まで(約400年間)であれば、明正天皇と昭和天皇、上皇陛下、今上天皇陛下以外の方は、全て側室からお生まれになった天皇です。
>明治までは確かにこの妃がたくさんいらっしゃった
「皇統の危機に、側室の有無は関係ない」はデタラメです。
18歳という若さで崩御された、第25代武烈天皇に側室はいませんでした。
>責任が怖くて逃げちゃったのかなぁ
悪質な描写です。倭彦王が逃げた原因は、はっきりとは分かっていませんが、有力な説として、朝廷から迎えにきた兵士が「自分を殺しにきた」と勘違いをしたからだと言われています。
父系の男子ではなく、『皇統につながる者』が正しい表現。
ちなみに、武烈天皇亡き後、都周辺に皇統につながる皇位継承の候補者が不在になってしまった原因は、ざっくり言うとみんな殺されてしまっていたからです。恐ろしい時代ですね
これは、継体天皇は遠回しに、現代の旧宮家の子孫に向けて、「懇願されたら断るべきではない」と圧力をかけているようにも見えます。読者に、「懇願されたら引き受けるのが宿命」だと思わせるための悪質な描写。
継体天皇にこんなこと言わせて、作者は一体どういう神経をしているのでしょうか?
最後は、主人公の一人がまさかの旧宮家子孫だった!という安っぽい展開(笑)
>菊栄親睦会
産経新聞 2022・2・7報道
「菊栄親睦会」直近は約8年前
https://www.sankei.com/article/20220207-K32NHILHNJNHFKEMA5ZTVSULRU/
全然交流してないじゃん
現実問題
たった一人しかいない未成年の我が子を捧げる親などいないはず。
未成年の男子が二人以上いる家は東久邇宮だけ。
賀陽家に30代前後の未婚の男子が二人いるとのことですが、今の生活を投げ捨てて皇族になる気があるとは到底思えません。
そもそも、旧宮家男系男子子孫(対象者)と言われている方々は、ごく僅かの限られた人しかいない(対象者が多すぎて調査しきれない、という話ではない)。
特に、第二次安倍政権発足後、真っ先に女性宮家創設プランを白紙にした安倍晋三は、旧宮家皇籍復帰に前向きだったはず。しかし、7年半の長期政権で内々に調査をしたけど結局誰も居なかったということでしょう。
>日本の帝王学
帝王学とは具体的に何なのか分かって書いているのでしょうか?現代における所謂帝王教育とは、天皇陛下から直接、薫陶を受けて育つことです。
旧宮家皇籍復帰は、(日本国憲法第14条「門地による差別」と接触するため一発アウトという意見もありますが)、
皇室典範第9条「天皇及び皇族は、養子をすることができない。」
皇室典範第15条「皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。」
に接触するため法改正が必要です。
生前退位のように、特例法で進めるつもりでしょうか?いずれにせよ、法改正する必要があります。
具体的な対象者が現れないまま、上記の法改正に着手するのと、
敬宮愛子内親王殿下という女性が目の前にいらっしゃって、皇室典範第1条
「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」を
「(例)皇位は、皇統に属する子孫が、これを継承する。」に変える。
皆さんは、どちらが現実的だと思いますか?